GENERAL DERMATOLOGY
一般皮膚科
湿疹、アトピー性皮膚炎
湿疹とは、赤みかゆみを特徴とする最も代表的な病気です。カサカサしたり、水膨れや膿を伴うこともあります。外的因子(化学物質、花粉、ハウスダスト、細菌、真菌、他のアレルゲン)と内的因子(健康状態、皮脂分泌状態、発汗状態、アレルギー、アトピー素因)が互いに影響し合い発症します。原因がはっきりしているものには、接触皮膚炎(かぶれ)、皮脂欠乏性皮膚炎(乾燥による湿疹)など名前が付きます。アトピー性皮膚炎は長引く湿疹が広範囲にみられる場合の呼び名です。日本皮膚科学会の診断基準は、①かゆみ②特徴的な皮疹とその分布③慢性・反復性の経過 3つ全て当てはまるものをいいますが、湿疹とは一連の病気ではっきりした境界はありません。治療は炎症・かゆみを抑えるステロイドの外用薬が基本になります。その他にプロトピック、コレクチム、モイゼルトといったステロイドを含まない外用薬もあります。また当院では紫外線療法(エキシマ)を取り入れております。デュピクセントは2週間に1回、自己注射する治療ですが、アトピー性皮膚炎、じんましん、痒疹の症状に優れた効果を示します。ご相談ください。
じんましん
かゆみを伴い、虫刺されのように赤く膨らんだ発疹(膨疹)が出現し、1日の中でも消えたり、形や場所が変わったりするのが特徴です。原因は7割以上は不明で、体調不良やストレスが影響していると考えられます。寒冷、日光、汗、アレルギーなど、原因がはっきりするじんましんもあります。特定の原因を疑った場合には、アレルギー採血検査を行うことがあります。数日でおさまる急性じんましんと、6週間以上続く慢性じんましんに分けられます。治療は、抗ヒスタミン薬の内服が基本になります。慢性じんましんでは急に治療を中断すると再発することが多く、内服薬は長い期間をかけて減量を目指します。ゾレアは既存治療で効果が不十分なじんましんにも優れた効果を示す皮下注射の治療になります。
脂漏性皮膚炎
頭皮、耳、顔、とくに眉間や鼻周囲といった皮脂の分泌が多いところにできる湿疹です。マラセチアという常在菌(カビ)が影響して発症、悪化させていると考えられています。皮脂貯留、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、生活サイクルの乱れ、ビタミンB不足など栄養バランスのかたよりが増悪因子になります。完全に治すことは難しく、増悪因子を取り除き、症状があるときは外用薬を使い、うまく付き合っていきましょう。治療はステロイドの外用、抗真菌薬(ニゾラール)の外用があります。抗真菌成分の入 ったシャンプーもおすすめです。
尋常性ざ瘡(にきび)
にきびは、毛穴の中に皮脂が溜まることで炎症を引き起こす疾患です。思春期に出るイメージだと思いますが、大人になってから出る方もよくいます。乳幼児や高齢者で突然にきびができる方もいます。患者様からにきびの原因をよく尋ねられるのですが、一つに特定することは困難です。にきびの炎症により、にきびが治った後も色素沈着や瘢痕を残してしまうことがよくあります。そのため、早期治療で重症化を予防することが、1番重要になります。治療は毛穴のつまりを改善する外用薬が基本になります。赤にきびには抗生剤の外用、内服を組み合わせます。 残念ながら、通常の保険診療での治療を行っても治りにくい重症のにきびでお悩みの方がたくさんいらっしゃいます。そのような方には、自費診療をご案内致します。
ケミカルピーリング、イソトレチノインやスピロノラクトンの内服、ドクターズコスメの販売などございます。
白癬(水虫)
白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚に感染することで発症します。足指の間の皮むけ、じゅくじゅく、水膨れ、踵の角化といった症状で、かゆみは無いことも多いです。爪に感染すると白く濁ったり、褐色になったり、ぶ厚く、もろくなります。足以外にも、全身の皮膚にうつることがあります。治療は抗真菌薬の外用です。症状がよくなってからさらに1ヶ月は塗り続けましょう。爪にうつると治療が難しくなりますので足にしか症状がないうちに治すことが大事です。早めにクリニックを受診してく ださい。皮膚や爪を少しだけこすりとり、顕微鏡で調べることで診断できます。
伝染性膿痂疹(とびひ)
湿疹やアトピー性皮膚炎、虫刺されを掻いたところから細菌が入り、じゅくじゅくとした傷になり身体中に増えてしまう病気です。夏に多く、お子さんに多い病気です。細菌による感染症なので、抗生剤の外用、内服薬で治療します。
蜂窩織炎
体の表面にいる細菌が小さな傷から皮膚の中に入ってしまい、皮膚の下の脂肪組織で炎症を起こす病気です。虫刺されや水虫による傷、また自分では気づかないような小さな傷からもなり得ます。身体のどこにでもできますが、特に足に多く、赤く腫れて熱くなり痛みを伴います。最初は皮膚局所の感染ですが、ひどくなると発熱を伴います。脂肪組織の下の筋肉まで波及すると壊死性筋膜炎といい、全身に細菌がまわり敗血症となると命に関わることがあります。治療は抗生剤の内服、安静も重要です。症状 がひどい場合は入院による抗生剤の点滴が必要になります。
尋常性疣贅(ウイルス性イボ)
ヒトパピローマウイルスの感染による、手足によくできるできものです。ダーモスコピー(拡大鏡)で見るとウイルスを栄養する血管が見えます。放置すると他の場所にもうつってしまうので早めに受診しましょう。治療は−196度の液体窒素をあてる冷凍凝固療法を1〜2週間ごとに繰り返します。サリチル酸の貼り薬、ヨクイニンの内服を組み合わせることもあります。液体窒素の痛みに弱い方には、トリクロロ酢酸による治療も可能です。ご相談ください。
脂漏性角化症(老人性イボ)
顔、首、体幹に好発する、茶色~黒色のできものです。かゆみを伴うことがあります。加齢や紫外線の影響で出てきます。
悪性腫瘍との鑑別に拡大鏡(ダーモスコピー)を使います。良性のできもので、放っておいても問題はありません。
治療する場合は、液体窒素、手術になります。
ヘルペス
単純ヘルペスウイルス1型または2型の感染症です。小水疱(水ぶくれ)の集まりが、口唇や陰部にできることが多いですが、全身どこにでもできることがあります。一度感染すると、ウイルスは神経節にひそみ、免疫力が落ちた時に症状が再発します。 アトピー性皮膚炎の患者さんではコントロールが悪いと、湿疹病変の上に小水疱、びらんが多発し発熱を伴うことがあり、カポジ水痘様発疹症といいます。治療は抗ウイルス薬の内服になります。抗ウイルス薬の外用もありますが、内服と外用を同時に処方することができません。またPIT(Patient Initiated Therapy)という新しい治療法があります。
発症初期に高容量を短期間内服することにより、症状を悪化させることを防ぐことが期待できます。
帯状疱疹
水痘(水ぼうそう)にかかった後もずっと、水痘帯状疱疹ウイルスは体の中に潜んでいます。免疫が落ちた時に神経に沿って体の片側に出てくるのが帯状疱疹です。最初は盛り上がった赤い斑点、その後水脹れができて破れてかさぶたになっていきます。筋肉痛やピリピリとした神経痛が皮疹の前から出ることがあります。 顔に出た場合には眼症状、ラムゼイハント症候群(顔面神経麻痺、内耳神経障害)に注意が必要です。ウイルスが神経を損傷するため、神経痛が長引くことがあります。治療は抗ウイルス薬を7日間内服します。免疫が落ちている証拠なので出来るだけ安静にしましょう。水痘に罹患したことのない小児、特に水痘ワクチン前の0歳児には水痘としてうつるので、接触を控えてください。 一度帯状疱疹を経験すると終生免疫を獲得してかからなくなる、と言いますが、繰り返す患者さんがしばしばおられます。50歳以上では帯状疱疹ワクチンの接種をおすすめします。
陥入爪・巻き爪
爪が皮膚に刺さって痛い状態を陥入爪と言います。その原因として、爪が巻いている巻き爪、爪の切りすぎ、幅広の爪、爪甲鉤彎症、EGFR阻害薬といった抗がん剤などがあります。 陥入爪に対しては、部分抜爪、フェノール法などの外科的治療のほか、ガター法を行なっています。巻き爪にはマイスター、VHOを行っています。
酒さ
顔の赤み、火照り、ヒリヒリ、血管拡張、ぶつぶつが出る病気です。原因はデモデックス(Demodex)というニキビダニや皮膚表面の免疫異常、遺伝的な要因もあります。日光、寒暖差、入浴、飲酒、刺激物の摂取、肝機能障害、ストレス、ステロイドの外用、喫煙などが増悪因子になります。 治療はロゼックスという抗菌薬の外用になります。尋常性ざ瘡(にきび)の治療も効果がある場合があり、ベピオの外用、抗生剤の内服、イソトレチノインの内服などすることがあります。スキンケアはアゼライン酸を取り入れてもらうのがおすすめです。ベーシックケアAZ、AZAクリアの販売をしております。
乾癬
乾癬は、銀白色の粉(鱗屑)を伴う、境界がはっきりとした赤い斑点が全身の様々な部位に出現する疾患です。
赤い斑点は小さいこともあれば、一つ一つがくっつき、大きな病変を形成することもあります。特によく擦れる部分(肘や膝、臀部、頭部、下腿など)でよく見られます。治療にはステロイド外用薬やビタミンD3外用薬を用います。治療効果が不十分な場合は紫外線療法を追加したり、内服薬などによる全身療法を検討致します。
掌蹠膿疱症
手や足に膿疱(膿をもったポツポツ)、赤み、鱗屑(カサカサ)が出る病気です。関節炎を併発する方もいます(胸鎖関節炎や脊椎炎)。かゆみは強い方もそうではない方もいます。喫煙、病巣感染(虫歯、歯周病、扁桃腺炎、中耳炎、副鼻腔炎、胆嚢炎など)が影響していると言われますが、原因ははっきりわかっていません。病巣感染は自覚症状がないことも多いので、歯科や耳鼻科で一度診てもらうと良いでしょう。
治療は禁煙、病巣感染の除去、ステロイドの外用、ビタミンD3の外用になります。紫外線療法も行っております。ビオチンの内服は一部の患者さんでは効果があることがあります。症状が強い患者さんは生物学的製剤の注射や免疫抑制剤内服が必要になり、その場合は大学病院へご紹介いたします。
粉瘤
皮膚の内側に袋状の構造物ができて袋の中に角質(あか)が溜まってしまう良性の腫瘍です。大きさはさまざまで、角質が徐々に溜まって大きくなったり、臍と言われる中央の穴から中身が出ると小さくなったりします。
二次感染を起こすと赤く腫れて膿が溜まり痛みを伴います。この時は治療は抗生剤の内服になります。局所麻酔して切って膿を出すこともあります。自然に治ることはなく、根治は手術となります。
熱傷(やけど)
やけどの深さはⅠ度、Ⅱs度、Ⅱd度、Ⅲ度と分けられます。Ⅰ度は表皮のみの浅いやけどで、皮膚が赤くなるのみです。Ⅱ度は真皮までのやけどで、水ぶくれ、びらんとなります。浅層(Ⅱs)だと瘢痕を残さず治りますが、深層(Ⅱd)だと瘢痕を残します。Ⅲ度は皮下までの深いやけどで、表面は白色の深い潰瘍となり知覚がなくなります。受傷直後には正確に判断するのが難しく、経過を見て判断します。 受傷直後にはしっかり冷やすのが重要です。当日〜数日の赤み、ヒリヒリする時期はステロイドを外用します。その後は傷薬に移行していきます。深さや感染兆候によって外用薬を使い分けます。感染を起こすと傷が深くなるので毎日きれいに洗浄することが重要です。場合によっては抗生剤の内服が必要になります。